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書籍の紹介

Introduction of Books

​井上靖子編『理論と経験をつなぐ心理学』八千代出版 2020年3月出版

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本書は、力動心理学の観点を取り入れた心理学についての入門講義の教科書として編纂されたものである。日常生活の身近な経験を振り返ることができる心や人間関係の在り方をテーマとし、アクティブラーニングで学べる演習課題を取りあげ、具体例事例を通して、心理学的観点が学べるように工夫した内容となっている。また、臨床心理学を専門とし、実践経験が豊富な臨床家らによって執筆されている。

日本ユング心理学会編『占星術とユング心理学』創元社2018年3月出版

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本書では、「南インドの床絵コーラムについての分析心理学的考察」(pp.131-150)の研究論文を執筆している。南インドのタミル・ナードゥ州の床絵コーラムを取り挙げ、分析心理学的意義を探った。現地女性にインタビュー調査を行い、そこで得られた発言に対する質的検討をおこなった結果を発表している。インド女性らが差別や暴力にも関わらず、逞しく生きているのは、コーラムによって心理的価値を経験しているからである。コーラムは、血や不浄を背負うことで人々を救う女神や女性らの「母なるもの」の慈悲を表現した女性原理のマンダラであると考えられた。

​日本ユング心理学会編『心の古層と身体』創元社2013年3月出版

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​本書では、「夢と描画表現にみる『母性』の傷つきと癒し」(pp.117-138)の研究論文を執筆している。母との関係に悩んでいた女性の心理療法過程を取りあげ、夢や描画表現を通して、その傷つきが如何に癒されたかについて検討した。セラピーでは、夢見と描画表現による自我の能動的関与によって、自我の死と再生、天空と大地を結合する象徴的表現が生じた。特に、夢のなかで天上から手の平から降りた「鳥の顔をした雪だるま」は、女性的な魂(self)のイメージであり、その霊力が女性の心身を癒した。セラピーは、母性の欠如という負の運命の連鎖が、価値のある鎖へと変容する過程でもあった。

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